切なくて、貧乏人

お恥ずかしながら
我が家の切なく、ささやかな
貧乏人の幸せな話を一つ。

ニューヨークは
ウォール街から端を発した
今回の金融不安は
日本を直撃。
その波は我が家をも襲った。

収入半減。

ここ数年お金に困った事など
なかったが、まさかの事態に
家計は困窮し
妻はパートへ
娘は保育園に通い出した。


会社勤務の場合、お昼ご飯は家へ帰って
食べるのが常で、以前はお昼に
子供とご飯を食べながら会話を
したものだが、今は一人おかずを
チンして食べるのが当たり前と
なっていた。

今日もいつも通り
一人、テレビを相手にお昼を
食べておりますと
玄関の勢いよく開く音がし、

妻が私の名を呼ぶ。

すごいものもらったよと。
走って来た。

玉手箱のような高価な
箱を私に見せる
開けるとそれは
うな重でした。
職場でとってくれたものらしい。

昨夜こんな会話をしていた。

今年はうなぎを買うお金すら
無くなったなあ。

ホント落ちてしまったねと。

そんな会話があり、

妻はわざわざ私に半分食べさせるため
家に帰って来たのだった。

感動して泣きまねをしたが
本当に泣けて来た。

まったく甲斐性なしの
夫によくも尽くしてくれる
妻だ。
私は幸せである。



しかしこの貧しい生活
からは一秒でも早く
脱出したい、

いまだに行けていない
新婚旅行とやらに行ってみたい。