空木岳から越百山山行記
長野県から岐阜県に位置する中央アルプス。
その中間あたりの空木岳(うつぎだけ)から越百山(こすもやま)までの山から山へ。
4歳からの友、T.iwamura42と朝4時に家を出発。
車で1時間、長野県大桑村伊那川ダムに到着。
林道から長い登山道を休み休みその日の宿泊地、木曽殿山荘まで約9時間かけて到着。
木曽殿山荘。
この名前から歴史の香りがする。
近くの水場は『義仲の力水』と呼ばれており、調べれば源義仲はこの山を超えて進軍したとか。
平安時代からこの地に人は来ていたわけかと。
山荘のご主人から温かいおもてなしを受け、
お酒を飲みながら他の登山者と交流し就寝。
布団に入り秒で聞こえ出来たT.iwamura42の寝息。
誘われるように眠りに付く。
温かい布団だった。
朝4時に起床、外は満天の星から朝焼けに変わり、
空木岳へ向けて歩き出した。
が、キツイ登りが視界の上の上まで続いている。
ようやく到着と思いきや、その先にまだ高い山。
白い花崗岩とハイマツの緑。
青い空。白い雲。
空木岳。その見事な美しさ。
伸びる稜線の向こうには南駒ヶ岳。
その時、聞き慣れない動物の鳴き声、
カエルのような、鳥のような。かわいい鳴き声。
ライチョウがいるとT.iwamura42が言う。
2匹のライチョウを見つけた我々、その後も5羽のライチョウに出会えた。
青い空。白い雲。ハイマツの緑。茶色い坂道。
と、美しい反面、道のりは容易ではなく激しいアップダウンの繰り返し。
2人とも言葉も失い、一歩一歩ゆっくりとした歩みに激しく息を切らして岩場を登ってはまた登って、ようやくたどり着いた南駒ヶ岳。
振り返ればどこまでも美しい空木岳。
進む先も美しい稜線。
が、しかしその向こうに薄黒く怪しい形をした山が見える。
今回一番の難所で危険な山。仙涯嶺。
地図で危険な場所をあらかた把握して、長い坂道を下り、また登って。
苦しい思いをして登り、また下って登るのこの苦痛、わかって来ているのに、心はポキポキ折とれてゆく、しかし進む。
先行者も我々も。
断崖の脇を慎重に歩みを進めて、難所を乗り越えての昼食。
カレーメシのカレーが身体に染み渡る感覚を覚えつつ、微かに曇り始めた稜線を眺めて、また歩く。
最後の一峰、越百山を目指して。
緩やかな下り坂と、また緩やかな登りの向こうにハイマツに覆われた丸い三角の山が越百山だった。
今までの厳しさ、美しさとは異なり、かわいらしい、いや、T.iwamura42が言った言葉が1番しっくりきた、『何とも優しい』まさにそれだと。
11歳の私に妹が出来て、自分が願う名前をねだったが、父はこすもと名付けた。
嫌で嫌で泣いた記憶すらある。
しかしその意味が少しだけ理解ができた気がした。
さて、時間も迫り、後は下るのみとはいえ、下りの時間も中々の所要時間と脚の痛みや疲れ。
途中の越百小屋にて休憩、疲れに霞むその黒い壁、赤い屋根という建物を見ていたら無性にコーラが飲みたくなり、小屋の中に吸い込まれた。
水槽にはビールのみ。
小屋の方に聞いてみたが、今季の営業もその日までで、売り切れだそうな。
アイフィールコーク、ノーコーク。
もう今の俺はコークしか受けつけないとT.Iwamura42。
無限に続くような長い下り道、棒のような脚、痛くて仕方ないつま先とコーラになっている口。
4時間ほどかけてようやく林道へ着いたのは
17時半。
ヘッドランプを点けて林道を1時間。
車を走らせ道の駅で2人ようやくコーラを口へ。
ほと走る炭酸と染み渡る甘さ。
2日目は12時間休みはあれども歩きっぱなしの一日。
美しい山々、青い空、白い雲、ハイマツの緑、茶色い坂の道、ポキポキに折れた心。
美しいだけじゃない、楽しいばかりでもない、
喜びもあれば、心も折れるような苦しみもある。
歩いて歩いて我々はどこに到達したのか。
結論を見る側それぞれに委ねる物語のような。
今回の中央アルプス空木岳から越百山の長い長い道のりでした。











































ある男
入院した男。
男が注文し配達された食材が玄関先に置かれていると
近所の友人父から連絡が入った。
仕事終わりに立ち寄り、箱を広げてみると
好きなカツ丼セット、野菜はなく、肉や、酒のつまみにするであろうそんな食材が目立つ。
妻に先立たれ、1人過ごす日々、悲しみの底は抜け、希望を見つけながらも、癒すのは日々の酒だろうか。
そんな事を勝手に思い描いて涙ぐんで、
実家を後にした。
寒くても春はもうすぐ。
■
娘には内緒で娘が所属する演劇部、夏の地区大会へ。
甲子園地方大会の高校演劇的な大会です。
電車で行きましたが、まず思いましたのは帽子や日傘無しで猛暑のなか歩くのは大変危険であると。会場までの残り100mは蜃気楼の向こうにあるようでした。
野菜の無人販売所で目が合った婆さんと暑いね暑いなと言葉を交わした事で意識を取り戻し、命からがらの到着。
さて会場の可児市文化創造センター小ホール。
完璧な小劇場でした。
なぜ、中津川市、恵那市にはこんな箱が無いのか。
モヤモヤを抱えつつ中へ入りますと、後方に音響卓。
娘が卓で音の調整している。バレたらこの子に動揺を誘い、本番に影響してしまうぞとパンフレットで顔を隠し席をさがしたが、どこも丸見え。
2階席へ。
開始までずっと娘が作業している姿を見守り、胸が熱くなって泣きそうでした。
心の中では号泣だった。
保育園の時、初めての運動会で緊張して走る直前に泣いていた姿を思い出したり。
時が流れて泣きそうなのは私。無事に終わり、舞台としての感想はあれとしてミスなく役割りを完遂した姿に感激でした。
他校の舞台も彼らの楽しむ姿に胸を打たれたり、満足の高校演劇地方大会でした。

半端者
中途半端なやり方とか人生とか性格とか。
中途半端で良かった事、今一つわかった事。
母に迷惑かけすぎず、親孝行でき無さ過ぎなかった事か。
それではまたお便りします。
母上様。
味噌の味
去年、一家の者に分け与えられた形見の味噌を少しだけ、この料理にはという場面で食しております。
これで最後と言った言葉と背中が忘れられない。