ジャパニーズトラディショナル タトー。

今日はホテルの大浴場と
書かれたお風呂に行ってみた。

服を脱いでガラガラと
引き戸を開けると
数人の男とじいさんが、
蛇口一個飛ばしに座って
体を洗っている。

私も一つ空けて頭をを洗う。
ガラガラ、引き戸が開いて、音のする方をチラッと見てすかさず向き直る。
体格のよい中年男性、

何か描かれている、それも全身にだ。

真剣に髪を洗うフリをする。
耳を男の行き先に集中させた。

男は桶をとり、立ち止まる、
蛇口は一個飛ばしなら
すべて埋まっている、

男は何処を選ぶのか
ロシアンルーレットが始まった。






隣に来た。

髪を洗う工程は流しの段階、泡よお願いだから穏やかに流れてくれ、
決して飛んではいけないぞ
と息を殺して髪を流した。
続いて体を洗う工程、
ここでは洗う腕のストロークを最小限に抑え洗ってゆく、
隣は体に何か描かれている男。

きっと塀の中もこんな感じで窮屈な思いをしながらお風呂に入るんだろうな、
そう思えてきた。

指先、タヲルの先端まで神経を集中させ全工程を完了
しかし男に気を取られすぎ、又、極度の緊張のせいか蛇口のお湯の止め方がわからない
ばしゃばしゃお湯は流れる、シャワーに切り替わる。さらにパニくる。
熱湯にしようとしている。

落ちけオレ、と心で自らに言い聞かせ、ようやく蛇口の水を止めた。

そそくさと湯船に浸かり
男の背中をまじまじと見てみた。

中国古来の龍がとぐろを体いっぱいに巻いていた。 腕や足には炎や不可思議な模様。

その後20秒程浸かり
出ることにした。
先に体を洗っていた
じいさんは湯船に浸かる事無く出ていった。